慶應義塾大学医学部における漢方医学教育の方針は漢方の専門家育成ではなく、東西医学が一つの頭に入っていて患者を前にした時に両者を組み合わせることで最高の医療ができる医療人を育成することにある。 そうした意味で漢方医学の基本的病理観、診断法を身につけた上で西洋医学のベースの上でさらにどのような医療を漢方で提供できるかが焦点となる。 各段階に応じて層別化した教育が必要である。 |
第4学年 必修 「漢方医学」6コマ 臨床的応用につき講義する。実地の臨床での応用についての理解することを目標とする。 |
修士課程 選択 「漢方医学」 漢方医学の基礎から応用までの講義を通じて特に基礎医学的手法について理解することを目標とする。 |
クルズス形式で漢方医学の実際の使用につき理解することを目標とする。 その他教室内では以下のような勉強会を行い自己研鑽を積んでいる。 1.外来陪席 2.研究カンファレンス 3.生薬勉強会 4.煎じ薬レポート 5.症例報告作成 |
漢方医学は海外の医師・学生には受け入れ難い医学であると考えられているが、実際には今までの海外からの医師・医学生の受け入れの中で、決して理解不可能が医学ではないという感触を得ている。実際、アメリカ合衆国、英国、フランスの慶應義塾大学提携校などからのレジデント・医学生は漢方医学を自ら求めて研修を希望し、2週間から1ヶ月間の研修でかなり漢方医学を理解して帰国する。このことより教育の方法次第では海外の医師・医学生に漢方医学を教えることは決して困難ではないと感じている。 |
漢方は一般の人でもよく知っているが、中国のものだと思っていたり、保険がきかないと思っている人が多いなど誤解が多い。こうした誤解を解くためにも本教室では平成14年度より市民講座を開始し4回を終了した。毎回慶應義塾大学三田キャンパスにて行い、平成16年度には760名の参加者を集めた。 |